土壌分析・土壌診断のやり方|家庭菜園での頼み先・土の採り方・結果の読み方

「葉の色が悪いから、肥料を足す」「なんとなく酸性っぽいから、石灰をまく」。家庭菜園では、土の中身を見ないまま、症状だけを見て何かを足すことがほとんどです。ところが、長く野菜を作ってきた畑を測ってみると、足りないものより、入れすぎてたまっているもののほうが多いことが少なくありません。足りないと思って足したものが、次の不調の原因になっている。これが、土を測らずに続ける土づくりのいちばんの落とし穴です。

この記事の結論 土壌分析は、プロの農家だけのものではありません。家庭菜園こそ「測ってから撒く」ほうが、資材代も手間も減ります。 頼み先は身近にあり、土の採り方と結果の読み方さえ押さえれば、数字は次に何をするか(何をしないか)を教えてくれます。
この記事でわかる3つのこと 1 なぜ測るのか 家庭菜園で多いのは 「足りない」より 「入れすぎ」 石灰・リン酸・肥料がたまる 2 いつ、どう採るか 測るのは 収穫が終わった秋 数か所の土を混ぜて1点に 春の土づくりに間に合う 3 どう読むか 数字は目安の帯と比べて 「足す」より先に 「止める」を決める 次の一手が1つに絞れる この記事でわかる3つのこと 1 なぜ測るのか 家庭菜園で多いのは 「足りない」より 「入れすぎ」 石灰・リン酸・肥料がたまる 2 いつ、どう採るか 測るのは 収穫が終わった秋 数か所の土を混ぜて1点に 春の土づくりに間に合う 3 どう読むか 数字は目安の帯と比べて 「足す」より先に 「止める」を決める 次の一手が1つに絞れる

この記事の色の使い分け ― ■ 緑=そうしたほうがよいこと・ちょうどよい状態 / ■ 橙=注意すること・入れすぎや不足 / ■ 藍=水と時間に関すること

この記事の目次
  1. 土壌分析と土壌診断は、何が違うのか
  2. 家庭菜園は「足りない」より「入れすぎ」が多い
  3. どこに頼めばいいのか — 5つの頼み先
  4. 何がわかるのか — 結果表に並ぶ項目の意味
  5. 土の採り方 — 結果の半分は、ここで決まる
  6. いつ測るか — いちばんよいのは「収穫後の秋」
  7. 結果の読み方と、次の一手
  8. 測ったのに役に立たない、3つのパターン
  9. よくある質問
  10. まとめ

土壌分析と土壌診断は、何が違うのか

ふたつの言葉はほぼ同じ意味で使われていますが、厳密には段階が違います。土壌分析は、土に含まれる成分や性質を測って数字にすること。土壌診断は、その数字を作物ごとの基準と見比べて、何を足し、何を控えるかという処方まで出すことです。申し込むときは、数字だけが返ってくるのか、処方(施肥設計)まで付くのかを確かめてください。

土壌分析土壌診断
やること土の成分・性質を測る測った数字を基準と比べ、対策を出す
返ってくるもの数値の一覧(pH、EC、リン酸など)数値+判定+施肥の処方
自分で判断すること数字の読み方と、次の一手処方をどこまで守るか
向いている人ある程度読み方がわかる人/傾向だけ見たい人はじめて測る人
はじめてなら「診断」まで付くものを 数字だけ渡されても、どこからが多すぎるのかは作物や土の種類で変わります。最初の1回は、基準との比較と処方まで付くものを選ぶと、読み方そのものを覚えられます。2回目からは同じ項目の数字を並べて、増えたか減ったかを見れば足ります。

家庭菜園は「足りない」より「入れすぎ」が多い

畑の土壌診断の結果をまとめた報告では、長く野菜を作ってきた畑や家庭菜園で、石灰(カルシウム)やリン酸が基準を大きく超えてたまっている例が多いことがくり返し指摘されています。理由は単純で、どちらも「毎年、植える前に入れるもの」として習慣になっているうえ、雨で流れにくく、作物が吸う量より入れる量のほうが多いからです。

毎年「いつもの量」を入れ続けると、こうなる 目安の帯 (作物・土で変わる) 1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 ! 帯を超えても、見た目では気づけない 石灰(カルシウム) リン酸 ※ 棒の高さはたまり方の傾向を示す模式図で、実測値ではありません 毎年「いつもの量」を入れ続けると、 こうなる 石灰(カルシウム) リン酸 ! 帯を超えても、見た目では気づけない 目安の帯 (作物・土で変わる) 1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 ※ 棒の高さはたまり方の傾向を示す模式図で、  実測値ではありません

石灰もリン酸も、土に吸いつくと雨で流れにくい性質があります。作物が吸う量を超えた分は、毎年少しずつ土に残ります。 葉の色や育ちに出るのは、たまりすぎてほかの成分の吸収を邪魔しはじめてからです。

習慣になりやすいことたまるものたまると起きやすいこと
植える前に毎回、苦土石灰をまく石灰・苦土pH が上がりすぎる。鉄・マンガン・ホウ素などが吸われにくくなる
「実もの」だからとリン酸の多い肥料を足すリン酸効かない形で土に残る。多すぎると亜鉛や鉄などの吸収を妨げることがある
元肥と追肥を「多めに」窒素・カリなどの塩類EC が上がる。根が水を吸いにくくなり、苗が根づかない
鶏ふんや化成肥料を毎年同じ量石灰・リン酸・カリ成分どうしの釣り合いが崩れる
雨の当たらない場所(ハウス・軒下・プランター)すべての塩類流れる機会がないので、たまる速さが露地より速い
「足りない症状」に見えて、原因は「入れすぎ」 葉が黄色くなる、実がつかない、苗が根づかない。どれも「何かが足りない」ように見えますが、石灰の入れすぎで pH が上がり、微量要素が吸えなくなっている、肥料の入れすぎで根が水を吸えない、という逆の原因で起きることがあります。ここで足すと悪化します。見分ける手段が、測ることです。

下の動画(音声つき・約2分)では、石灰やリン酸がなぜたまるのか、土の採り方と測る時期、結果を「多すぎるもの」から読む順番までを、絵で順に見ていきます。

【音声つき・約2分・字幕あり】足す前に測る。たまる仕組み・土の採り方・時期・読む順番

どこに頼めばいいのか — 5つの頼み先

「土壌分析」で検索すると、ホームセンターの受付サービスや JA・分析機関の案内ページが並びます。どれも間違いではありませんが、知りたいことによって向いている頼み先が違います。家庭菜園の人が選びやすい順に並べると、次のとおりです。

頼み先主にわかること向いている人確かめておくこと
ホームセンターの受付サービスpH・EC・リン酸・石灰・苦土・カリなどの基本項目。施肥の提案が付くメニューもあるはじめて測る家庭菜園の人メニューごとの項目数、処方が付くか
地域の JA基本項目+地域の基準に沿った判定と施肥設計地元の基準で見たい人/畑の規模がある人組合員でなくても受けられるか、受付の窓口
民間の分析機関項目を選べる。微量要素、微生物の量など詳しい項目も原因を深く調べたい人申込書の書き方、採る量、送り方
自治体の相談窓口
(農業改良普及センター等)
分析の受け先の紹介、結果の読み方の相談どこに頼むか決められない人家庭菜園の相談も受けているか
自分で測る
(pH 計・EC 計・簡易キット)
pH・EC、キットによっては硝酸態窒素・リン酸・カリの目安毎年の変化を自分で追いたい人精度は傾向を見る程度。CEC などは測れない
料金と、結果が届くまでの日数について 料金・所要日数は、頼み先とメニュー(項目の数、処方が付くか)で大きく変わり、改定もあるため、この記事には書いていません。申し込む前に、窓口か案内ページで必ず確認してください。 春の作付け前は申し込みが集中しやすいので、日数に余裕を見ておくと安心です。
頼むときの流れは、どこでもほぼ同じ4段階 1 申し込む 項目と処方の有無を 決める 2 土を採る 数か所を混ぜ、 陰で乾かして送る 3 測ってもらう ここは待つだけ 4 結果を読む 止めるもの・足すもの を1つずつ決める 自分で測る場合(2 → 4 に直行) pH 計・EC 計でその場で測り、 毎年同じ時期・同じやり方で記録する 頼むときの流れは、どこでも ほぼ同じ4段階 1 申し込む 項目と処方の有無を決める 2 土を採る 数か所を混ぜ、陰で乾かして送る 3 測ってもらう ここは待つだけ 4 結果を読む 止めるもの・足すものを1つずつ決める 自分で測る場合(2 → 4 に直行) pH 計・EC 計でその場で測り、 毎年同じ時期・同じやり方で記録する

送る土の量・袋・申込書の書き方は頼み先ごとに指定があります。採る前に指定を読んでおくと、採り直しになりません。

何がわかるのか — 結果表に並ぶ項目の意味

返ってくる結果表には、見慣れない項目が並びます。全部を理解する必要はありません。家庭菜園でまず見るのは pH・EC・リン酸の3つ、次に石灰・苦土・カリの釣り合い、余裕があれば CEC と腐植、という順で十分です。

項目何を表すかひとことで言うと見る順
pH(ピーエイチ)土の酸性・アルカリ性の度合い養分の「吸いやすさ」を決める土台最初
EC(電気伝導度)水に溶けている塩類(肥料分)の濃さいま効く肥料が、どれだけ残っているか最初
可給態リン酸作物が使える形のリン酸の量家庭菜園でいちばんたまりやすいもの最初
交換性の石灰・苦土・カリ土に吸いついて蓄えられている量3つの釣り合いが大事2番目
CEC(塩基交換容量)養分を抱えておける器の大きさ土の「胃袋の大きさ」3番目
腐植分解が進んだ有機物の量土の「糊」と「器」のもと3番目
微生物の量土の中の菌の量や、その働きの目安一部の機関が扱う新しい見方必要なら
pH の見方 ― 「多くの野菜」の目安の帯 4.5 5.0 5.5 6.0 6.5 7.0 7.5 酸性が強すぎる 多くの野菜が育つ範囲 上がりすぎ(石灰の入れすぎで多い) とくに育ちやすいのは 6.0〜6.5 前後(弱酸性) 低いと アルミニウムが溶け出して根を傷める。 リン酸が効きにくくなる 高いと 鉄・マンガン・ホウ素などが吸われにくい。 葉の黄化など「不足」に見える症状が出る pH の見方 ― 「多くの野菜」の目安の帯 4.5 5.0 5.5 6.0 6.5 7.0 7.5 とくに育ちやすいのは 6.0〜6.5 前後(弱酸性) 〜5.5 酸性が強すぎる 5.5〜6.5 多くの野菜が育つ範囲 6.5〜 上がりすぎ(石灰の入れすぎで多い) 低いと アルミニウムが溶け出して根を傷める。 リン酸が効きにくくなる 高いと 鉄・マンガン・ホウ素などが吸われにくい。 葉の黄化など「不足」に見える症状が出る

目安は作物で違います。ジャガイモやブルーベリーは低め、ホウレンソウやエンドウは高めを好みます。ここに示したのは一般的な目安です。作物・土の種類・地域で基準は変わるので、お住まいの都道府県の土壌診断基準も確認してください。

EC の見方 ― 肥料分がどれだけ残っているか 低い ちょうどよい 高い 低い → 元肥が必要 作付け前なら普通の状態 ちょうどよい → そのまま 元肥は控えめでよい 高い → 肥料を止める 根が水を吸いにくくなる EC の見方 ― 肥料分がどれだけ残っているか 低い ちょうどよい 高い 低い → 元肥が必要 作付け前なら普通の状態 ちょうどよい → そのまま 元肥は控えめでよい 高い → 肥料を止める 根が水を吸いにくくなる

EC は「効く肥料がいまどれだけ残っているか」を見る数字です。同じ土でも、測り方(土と水の割合)が違えば数字が変わるので、ほかの結果と比べるときは同じ測り方どうしで比べてください。高い場合の目安も、作物と測り方で変わります。

CEC は「胃袋の大きさ」 同じ量の肥料を入れても、CEC が大きい土(粘土や腐植が多い土)は抱えておけるので効き方がゆっくり、小さい土(砂っぽい土)は抱えきれずに流れたり、一度に効きすぎたりします。CEC が小さい畑は「少しずつ、何回かに分けて」が基本です。CEC は堆肥などで腐植を増やすと、年単位で少しずつ大きくなります。

石灰・苦土・カリは、それぞれの量だけでなく3つの釣り合いが大事です。たとえばカリが多すぎると、苦土が十分にあっても作物に吸われにくくなります(拮抗作用と呼ばれます)。結果表に「塩基バランス」や比率が出ていたら、どれか1つが突出していないかを見てください。

土の採り方 — 結果の半分は、ここで決まる

分析の精度がどれだけ高くても、送った土が畑を代表していなければ意味がありません。畑の土は、場所によって驚くほど違います。肥料を置いた株元、通路、水のたまる隅。1か所だけ掘って送ると、その1か所の結果しか返ってきません。

どこを、どの深さで採るか 上から見たところ ― 5か所をジグザグに 通路 1 2 3 4 5 株元の真下・肥料を置いた所・水たまりの跡は避ける 横から見たところ ― 作土を縦に均等に 表面の草・落ち葉は払う 下層(採らない) 作土の深さ (目安 約15cm) 上から下まで同じ厚みで どこを、どの深さで採るか 上から見たところ ― 5か所をジグザグに 通路 1 2 3 4 5 株元の真下・肥料を置いた所・ 水たまりの跡は避ける 横から見たところ ― 作土を縦に均等に 表面の草・落ち葉は払う 下層(採らない) 作土の深さ (目安 約15cm) 上から下まで同じ厚みで

ジグザグにたどるのは、畝の片側や一列だけに偏らないためです。深さは「ふだん耕したり、根が主に張ったりする範囲」。表面だけをすくうと、置いた肥料の影響で数字が高く出ます。

手順1|採る日を選ぶ

収穫が終わり、次の肥料や石灰を入れる前に採ります。入れた直後は、その資材の分だけ数字がはね上がります。大雨の直後も避けます。肥料分が一時的に下へ流れ、EC などが低く出ることがあります。

手順2|数か所から同じ量ずつ採る

上の図のように、畑をジグザグにたどって5か所前後から、移植ごてやスコップで作土の上から下まで、同じ厚みで切り取ります。1か所だけ多く採ると、その場所の結果に引っぱられます。

手順3|バケツでよく混ぜて、1つにする

採った土をきれいなバケツに集め、石・根・ごみを取り除きながら、全体が均一になるまでよく混ぜます。ここで混ぜた1つが、畑の「平均の土」になります。

手順4|日の当たらない場所で乾かす

新聞紙などに薄く広げ、直射日光や暖房に当てず、風通しのよい日陰で乾かします。熱をかけると成分が変わるおそれがあります。頼み先が「生のまま」と指定している場合は、その指定に従ってください。

手順5|指定の量を袋に入れ、記録を添える

頼み先が指定する量を袋に入れ、採った日・場所・前作・次に植えたい作物を書き添えます。次に植える作物がわかると、処方がその作物に合わせたものになります。

やりがちな採り方何が起きるかこうする
1か所だけ掘るその場所の偏りがそのまま結果になる5か所前後を混ぜる
株元の真下を採る追肥の残りで数字が高く出る株と株の間、根の広がる範囲から
表面だけすくう置いた肥料・石灰の影響が強く出る作土の上から下まで同じ厚みで
石灰をまいてから採るpH・石灰が実態より高く出る資材を入れる前に採る
日なたやストーブで乾かす成分が変わるおそれがある風通しのよい日陰で
畑とプランターの土を混ぜるどちらの結果でもなくなる区画ごとに別の袋で

いつ測るか — いちばんよいのは「収穫後の秋」

春に植える直前に測ろうとすると、結果が届くころには植え付けが迫っていて、石灰を控える・堆肥を入れて寝かせるといった手が打てません。夏野菜が終わった秋に採れば、冬のあいだに結果を読み、春の土づくりに反映できます。

秋に測れば、春に間に合う 9月10月11月 12月1月 2月 3月4月5月 収穫後に採る・申し込む 結果を読む 計画 資材を入れて植える 植える直前に測ると 結果を待つあいだに、植え付けが来てしまう 秋に測れば、春に間に合う 9〜11月 収穫後に採る・申し込む 12〜1月 結果を読む 2月 計画 3〜4月 資材を入れて植える 5月 植える直前に測ると 結果を待つあいだに、植え付けが来てしまう

結果が届くまでの日数は頼み先で違うため、図の位置はおおよその流れです。毎年同じ時期に測ると、前の年との比較がそのまま土づくりの成績表になります。

毎年測らなくてもよい 土の中身は1年で大きくは変わりません。はじめの1回で傾向をつかんだら、その後は2〜3年に一度、同じ時期・同じ頼み先で測れば十分です。不調が出た年や、資材の入れ方を大きく変えた年は、そのつど測ってください。

結果の読み方と、次の一手

結果表を受け取ったら、「足りないもの」を探す前に、「多すぎるもの」から見ます。多すぎるものを止めるのは、お金もかからず、今年からできる対策だからです。

読む順番 ― 「止める」が先、「足す」は最後 1|pH が目安より高い? 石灰の入れすぎで多いパターン はい → 石灰を止める 「毎回まく」をやめ、次の測定まで入れない 2|EC が高い? 肥料が残っている/たまっている はい → 元肥を減らす・止める 露地なら冬の雨に当てる。プランターは水で流す 3|リン酸が多い? 家庭菜園でいちばん多い はい → リン酸の多い資材を控える 成分表の真ん中の数字が大きい肥料に注意 4|1〜3 がすべて「いいえ」で、全体に低いとき、はじめて「足す」 堆肥などの有機物で器(腐植)を育て、足りない成分だけを処方に沿って補う 読む順番 ― 「止める」が先、「足す」は最後 1|pH が目安より高い? 石灰の入れすぎで多いパターン はい → 石灰を止める 「毎回まく」をやめ、次の測定まで入れない 2|EC が高い? 肥料が残っている/たまっている はい → 元肥を減らす・止める 露地なら冬の雨に当てる。プランターは水で流す 3|リン酸が多い? 家庭菜園でいちばん多い はい → リン酸の多い資材を控える 成分表の真ん中の数字が大きい肥料に注意 4|1〜3 がすべて「いいえ」で、 全体に低いとき、はじめて「足す」 堆肥などの有機物で器(腐植)を育て、 足りない成分だけを処方に沿って補う
結果土の中で起きていること次の一手やらないこと
pH が高い石灰がたまり、微量要素が吸われにくい石灰を止める。有機物を入れて様子を見る「念のため」の苦土石灰
pH が低い酸性が強く、根が傷みやすい処方の量だけ石灰で調整。植える2週間ほど前までに目分量でまとめて大量に入れる
EC が高い肥料分が濃く、根が水を吸いにくい元肥を減らす・止める。露地は雨に当てる元気がないからと追肥する
EC が低いいま効く肥料分が少ない作付け前なら普通。処方どおり元肥を入れる一度に多く入れて取り返そうとする
リン酸が多い効かない形で土に残っているリン酸の多い肥料・鶏ふんを控える「実もの用」の肥料を習慣で足す
石灰・苦土・カリの釣り合いが悪い多い成分が、ほかの成分の吸収を邪魔している多いものを止め、少ないものだけ補う全部入りの肥料で一律に足す
CEC・腐植が少ない養分を抱えておけない土堆肥などで有機物を年単位で入れる。肥料は分けて少しずつ一度に効かせようとする
数字の「よしあし」の線は、ひとつではありません この記事の目安は一般的なものです。適正な範囲は作物・土の種類(砂っぽい土か、粘土質か、火山灰の土か)・地域で変わります。都道府県は作物ごとの土壌診断基準を公表していることが多いので、処方が付かない結果を自分で読むときは、お住まいの都道府県の基準と見比べてください。

測ったのに役に立たない、3つのパターン

パターン何が起きたか防ぎ方
1. 測っただけで終わる結果表を見て安心し、入れる資材はいつもどおり「止めるもの」を1つ決めて、実際に止める
2. 毎回ちがう頼み先・ちがう時期測り方が違い、去年と比べられない同じ頼み先・同じ時期・同じ採り方でそろえる
3. 足りないものだけ見る不足分を足し、多すぎるものはそのまま。さらに偏る「多すぎる」から先に読む
測ったら、翌年もう一度測る 石灰を止めた、元肥を減らした。その結果が本当に土に出ているかは、次に測ったときの数字の動きでしかわかりません。1回目は「いまの状態」、2回目からは「自分のやり方の成績」です。

よくある質問

家庭菜園の小さな畑でも、土壌分析をする意味はありますか

あります。むしろ小さな畑ほど、石灰や肥料を「目分量で多めに」入れがちで、たまりやすい傾向があります。1回測れば、入れなくてよい資材がわかり、その分の費用と手間が減ります。 区画が分かれているなら、区画ごとに測るとさらに役立ちます。

市販の pH 計や簡易キットだけでは足りませんか

毎年の変化を追うには役立ちます。ただし精度は傾向を見る程度で、CEC や石灰・苦土・カリの釣り合いなどはわかりません。最初の1回は分析を頼んで全体像をつかみ、その後の年は自分で pH と EC を追う、という組み合わせが現実的です。

プランターの土も分析に出せますか

頼み先によっては受け付けています。ただしプランターは土の量が少ないので、分析に出すより、古い土を再生して足りない分を補うほうが手軽なことが多いです。雨に当たらないぶん肥料分がたまりやすいので、EC だけでも自分で測っておくと失敗が減ります。古い土の再生は古い土を再生して秋にもう一度使う5つの手順にまとめています。

分析の結果どおりにすれば、連作障害や病気は防げますか

防げるとは書けません。土壌分析でわかるのは主に養分と性質で、病原菌や線虫の有無は通常の項目には入っていません。養分の偏りを直すと育ちが安定することはありますが、連作障害への対策は輪作が基本です。何年あけるかと区画の回し方は連作障害とはにまとめています。

まとめ

なぜ測るか家庭菜園は「入れすぎ」が多い。足す前に、止めるものを見つける
どこに頼むかはじめてなら処方まで付くもの(ホームセンターの受付・JA など)。料金と日数は申込先で確認
まず見る項目pH・EC・リン酸。次に石灰・苦土・カリの釣り合い
採り方資材を入れる前に、5か所前後から作土を同じ厚みで採って混ぜ、日陰で乾かす
いつ測るか収穫後の秋。以後は2〜3年に一度、同じ時期に
読み方「多すぎる」から読む。止める → 最後に足す

土づくりは、何を入れるかより先に、何がすでに入っているかを知るところから始まります。数字は答えそのものではありませんが、「今年は何をやめるか」を決めるための、いちばん確かな手がかりです。

測った数字を、そのまま公開しています

このサイトでは、使っている培養土と、その土で育てた野菜を第三者機関に出して測った結果を、よかった数字も伸びなかった数字もそのまま載せています。土の中の微生物の量を比べた分析もあります。数字の読み方の練習にも使ってください。

→ 培養土の分析データを見る

関連記事:古い土を再生して秋にもう一度使う5つの手順|夏野菜のあとのプランター(pH の調整と、足りない分の補い方)/不耕起栽培とは|耕さない畑で土が変わる仕組みと、家庭菜園での始め方

この記事を書いた人

中澤 由幸(なかざわ よしゆき)

能源有限会社/北海道勇払郡むかわ町穂別

明治38年から四代続く中澤農園の三代目。稲作からメロン中心の蔬菜へ農園を転換させ、いまは四代目の和晴(息子)が農園を継いでいます。生体システム実践研究会の会員として、一部の作物で生体エネルギー技術を用いた栽培を実践。収穫物は日本食品分析センター、デザイナーフーズ株式会社に出して測っています。記事の内容は、すべて自分の畑と手で確かめた範囲で書いています。

→ プロフィールと、書き方の方針